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一年たって再び「殺すな」 見えない壁のなかの緩慢な虐殺

11 03, 2012 Tag,福島第一原発,東日本大震災,内部被爆,子供

あれから一年が過ぎます。政府やメディア、政治家、役人、科学者、医者など国の重要な立場にある人々の不作為が目立ちました。時が経つにつれ、司司の人々のみならず我々一般人にもそうした劣化は大きく広がっている様に見えた。しかもそれは震災と原発事故による昨年だけの特殊な現象ではなく、震災が切っ掛けとなりもともとの日本人の姿がむきだしにされた。そう考えると事態は想像以上に深刻で自分が見ていた世界は張りぼてだった事になる。まさに幻世。警察官は悪い人をつかまえる、裁判官は公正な判断をする、医者は患者に正しい治療をしてくれる。こうした合意があって世の中は回っていたのですがこの前提はもう有効でない。これからは極端な事を言えば医者にかかる時、まともかどうか自分で確かめなくてはいけないのが実態かもしれない。

もし、中国が原発事故をおこし、放射能拡散予測を政府が隠し、人々に知らせず、世界各国が自国民を80キロ圏外へ退避させるなか、子供や女性を高線量の土地に一年以上縛り付け逃がさない、食べ物の基準も突然甘い基準を採用し瓦礫も全国に拡散、事故の原因も解明されないうちに原発の再稼働や輸出を口にする。そんな対応をすれば、日本のメディアも人々も猛烈に叩きまくっただろう。でも残念ながらこれは日本で起きている事です。しかし、それに対して非難の声がわき上がるどころか、一年たっても大部分の人は放射能の事でさえ、ほとんど学習していない。昨年の出来事は私たち存在のあり方に深い問いかけを突きつけている。その問いから誰も逃れる事はできないが一年過ぎてそれを正面から見る事ができない。原発推進派も反対派も私も含めそのポジションに安住し思考停止だ。全ての人がどこかもう普通じゃない。

つい数十年前、自分が子供の頃の日本は外国から見れば「チビで眼鏡をかけ、出っ歯で首からカメラをぶら下げた劣等民族の姿として」侮蔑のこもった漫画が象徴的だった。ラジオやバイクが少しずつ世界に認められる様になり、子供の目にも「メイドインジャパン」に少し誇りを感ずる様になっていったのを覚えています。

つい数十年前の日本の姿を忘れ、事故の対応をできないまま、日本はすばらしいとか日本の繊細な食文化をこれから世界に発信するんだとか、これだけ異常な事態に国内では事実を正面から見つめようとせず、一番肝心な事に目をつぶり、周辺の関係ない事ばかりやっている。子供や若い女性を助けなくて脱原発も除染も復興もすべてが無意味だろう。「殺すな!」

数年後、日本の伝統、芸術、科学、宗教、哲学、医学、技術どんな分野であろうと世界に向けていくら「すばらしいでしょう」とアピールしても「ああ、でも、あなたたちは子供と弱い立場の女性を助けなかったんですよね」と言われて終わりです。失った信用を取り戻すのは当分難しいだろう。日本は停滞から衰退へ予想より早く向かうのは避けられない気がします。「子供と女性を助けなかった国」というレッテルを貼られたまま、まがりなりにもまともな国と我々自身も認識できる様になるのか、世界からもそう見られる様な日が来るのか考えると重い気分にならざるをえない。

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カレンダーは終わるが気分はなにも終わっていない

29 12, 2011 Tag,福島第一原発,モズ

日本政府にはもともと今回の事故の様に炉心の溶融や最後の砦である格納容器の破損など破滅的な危機は最初から想定していません。あえて想定されていなかった事情は後々検証されるべき事です。ですから今回の政府や東電の対策は国民目線でなされているものではありません。パニックと汚染の拡大防止が主眼にあり、「できるだけ住民の移動を抑制」という方向にでていると思われます。本来は広範囲な地域での大移動が必要になります。今の政府が短時間でその計画を作成できる訳もなく震災の対応も重なり結局何もしないまま緊急避難の必要な住民たちも「屋内待機」というかたちで見殺しになる可能性が大です。突然、言われだした計画停電もそうした方向から見ると何故か腑に落ち薄気味悪い。おそらくこれから危機的情報が小出しにされ、最後は誰も責任をとらない結果となりそうです。あっと言う間の一年でした。上の記事は今年3月にアップした記事です。自分の杞憂をのべたものだが実際はそれ以上の惨状が今現在も進行中です。世界に目を転ずれば、いわゆる資本主義経済も末期的状況で、いつ崩れ落ちてもおかしくない状況です。そんな状況のなかで国内の流れは現実から目をそらし、その場を繕っているばかりです。
日本人を動かしているのは「空気」だとよくいわれます。その空気を作り出しているのはマスコミ、昔からの共同体意識、権益集団などです。今年は多くの人がマスコミや権威の言動に疑問を抱いた年でしたが、それでも彼らの作戦は大方、成功したのでしょう。「食べて応援」「放射能安全説」「除染すれば帰れる」などのキャンペーンがはられ、東京以西の人々の緊張感はさしてありません。実際は国民や福島の人々を分断し福島に閉じ込める「ゲットー化」が進行し緩やかなジェノサイドが始まっています。
もし日本が良い方向に向かうとすれば「まず一番に立場の弱い子供や若い女性を退避させる」こうした「空気」が醸し出されなければ、良い方向にはいかないのかもしれません。
来年はマスコミや権威に振り回されず、自分で考える年になってもらいたいものです。
最後に鳥の写真でもご覧ください。今年はなぜかやって来る鳥の種類少なめです。気のせいでしようか?以前撮ったモズの写真もまとめました。

モズ 1モズ 2モズ 3モズ 4モズ 5モズ 6モズ 7モズ 8モズ 9

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岩井俊二監督ドキュメンタリー「friends after 3.11」

04 10, 2011 Tag,岩井俊二監督ドキュメンタリー,福島第一原発

今日は社員一人の我が社としては珍しく、夕食後仕事をしてしまった。もう既に10月、少し仕事が立て込んでしまったのです。

311以降は戦後積み残した宿題を後回しにしてきた事がすべてバレてしまった。様々な人々が夫々の立場で思い悩み行動してきました。震災を契機に知り合った有名、無名の人々が松田邸に集ったロックの会。メンバーの一人、岩井俊二監督がドキュメンタリーを撮りました。私たち自身も震災以前と以降では何かが違うはず。自分自身で来し方行く末を今一度考えてみようと思う。





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問題は俎上にのってる?

23 08, 2011 Tag,福島第一原発,内部被爆,セシウム,子供,武田邦彦,岩上安身

世界も日本も風雲急を告げています。金は1オンス 1000 ドルを超える事は無いなどと言われていましたが 1500 ドルを超えてからこの二ヶ月で遂に 1900 ドルを突破、世界経済大混乱、国内では震災後五ヶ月たっても政府、官僚、国会議員、マスメディア、東電、財界、学者たちは問題点(放射能の事)を正面から議論のテーブルの上に置く事さえできていません。

この頃は一見怪しげなと世間から思われている人々の意見の方がまともと感じる事があります。固定観念から逃れ柔軟に思考する為に、フィンランドの小学生が作ったとされる正しい議論をする為の決まりでもご覧のうえ、武田さんのお話を聴いてみてください。
1. 他人の発言をさえぎらない
2. 話すときは、だらだらとしゃべらない
3. 話すときに、怒ったり泣いたりしない
4. わからないことがあったら、すぐに質問する
5. 話を聞くときは、話している人の目を見る
6. 話を聞くときは、他のことをしない
7. 最後まで、きちんと話を聞く
8. 議論が台無しになるようなことを言わない
9. どのような意見であっても、間違いと決めつけない
10. 議論が終わったら、議論の内容の話はしない








テーブル 平面だし

横削り


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基準値以下だから安心?

16 06, 2011 Tag,福島第一原発,内部被爆,お茶,セシウム

静岡でもお茶からセシウムが検出され騒ぎになっているがトップの川勝知事が「基準値を超えたものはごく一部で煮だしたお茶に含まれるセシウムは微量。健康に全く問題がなく、うろたえる事態でない、政府の基準がおかしい」と言い切って、政府の基準に怒りをぶつけていました。この人は誰の立場でどんな根拠でこんな発言をしているのかさっぱり解りません。うろたえているのはご本人でしょう。地元のメディアは県の情報を垂れ流し、検証を試みる気などさらさら無い様です。


311から三ヶ月、この間わかった事は新聞やNHKを含むテレビなどマスメディアが全く使い物にならなかった事。国民を守るべき政府がその機能を果たさず、どちらかと言えば政府は国民を危機に追いやっている様にしか見えないこと。退避の指示や福島の20ミリシーベルト問題、食品の暫定基準値など、とにかく何もしない方向性が滲みでている。


そもそも国の基準自体の妥当性を疑ってみるべきでしょう。今まで国も世界も年間被曝量は年1ミリシーベルトだったものが子供も含めていきなり20ミリシーベルトにしたわけです。車の法定速度40キロがある日、突然20倍の800キロで安全と言われても納得できますか?


飲み物の基準、日本ではセシウム137は200ベクレル、一方、チェルノブイリを経験したウクライナは2ベクレル、ベラルーシ10ベクレル。日本の基準はウクライナの100倍、ベラルーシの20倍、 WTO の200倍、ドイツの400倍アメリカの約1800倍です。「ウクライナ2ベクレル、ベラルーシ10ベクレル」何故か考えましょうよ。もはや国の基準以下だから安全とか誰かが言ったから大丈夫とか全く言えません。世界の基準と照らし合わせ各自で判断するしかありません。


政府が手をこまねいている間に福島では子供たちに症状が出始めた様です。今、少しまともな新聞、東京新聞、中日新聞
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